ツンデレ王子とメンヘラ姫のペット契約

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ひなこに宇賀山がLINEを送ってからもう二週間が経っていた。花火はもう目前だが、何も言ってこないのでおかしいと思った。

約束はしたが、こちらから詳細などを伝えないといけないとも思うが、今度の花火大会はひなこの方が近いので、小日向はあまりどんな感じなのか分からないのでひなこ頼りだった。

そのことで午前中から悶々としてると、やはりウザい宇賀山、ウザ山が部屋に入ってきた。

そして、「どーせ、またひなこちゃんのこと考えてるんだろ?」とニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべてくるので、「ちげーよ」と嘘をついた。

ウザ山は、「ほんと素直じゃないんだから」と言うと、部屋を出ようとした。するとそれと入れ替わりで、こころが部屋に入ってきた。

ウザ山はなんか面白そうな匂いがすると、歩みをゆっくりとした。

こころはどうやら小日向のことを誘っていたが、「俺、インドアだからやだよ」と丁重お断りされていた。しかし、こころは引き下がらず、いつものジムとご飯ならということで決着がついた。

部屋を出ると宇賀山はこころに「あんまり焚き付けない方がいいぞ、あいつあんなんだし」と言った。

こころは「分かってますよ、でも私だって焦ってるんです」と言った。

宇賀山は笑いながら「ライバルの登場だもんな」と分かった様に言った。

こころは「宇賀山さんは私を応援してくれてるんじゃないんですか」と言うと、「どうだろうねぇ、僕はいつだって公平だから」と言った。

こころはこの人を相手にしててもキリがないと、「では」と言い、仕事に戻ろうとした。すると、宇賀山は「最後にひとつ」と言い、「あんまり君が小日向にせっつくと、俺は小日向があっちと上手くいっちゃうんじゃないかって思うよ」と訳知りな顔で言った。そして「恋愛体質な君に影響されてね」と付け加えた。

こころはドキッとして「じゃあどうすればいいんですか」と振り返って言うと、宇賀山は「それは自分で考えなよ」と何の役にも立たないことを言ってきた。

こころはやはりこの人は宇賀山じゃなくウザ山だなと思った。今度会ったら真正面からウザ山と言ってやると思ったのだった。
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