ツンデレ王子とメンヘラ姫のペット契約
第9章 ひなこメンヘラ発動!戸惑う小日向

花火大会前日

いよいよ花火大会前日となった。流石にLINEを送らないとまずいなと思い、小日向は朝から丁寧に待ち合わせ場所と時間を指定したLINEを送った。

しかし、昼が過ぎても一向に返信は返って来なかった。

小日向は困り果てたが、唯一使いたくなかった手段を使おうと、美織のLINEを開いた。以前、ひなこが自分たちの関係を模したケータイ小説を書いてると聞いていた。それを美織がふざけて送ってきていたので、もしかしたらそこに今のひなこのヒントがあるかもしれないと思った。

休憩中、仕事の合間など、暇さえあれば読み進めたが、それは中々の分量があり、最後まで辿り着くのは果てしなかった。

しかも中々プライバシーの侵害をされており、こいつめと思った。

いよいよ退勤という時に、ようやく前回の場面に行き、その後にはなんと「小日向さんへ」の文字があった。

小日向はそれを見つけるとまじかと思い、急いでスクロールした。

「小日向さんへ
私は小日向さんのことが好きでしたが、それがどうも上手く行きそうにもありません。LINEも未読無視されるし、飲みに行っても終始怒り顔だし、正直嫌われてるのかなと思うこともあります。
こんなんなら、私も拓夢くんのようにこの世から消えても未練はないのかなと思います。
小日向さん、私はあなたと出会わない方が幸せでした。さようなら
ひなこ」

ちなみに、拓夢くんのいつ死んでも良いというエピソードが物語には入っていた。

小日向さんは全部読み終えると、立ち上がり、「くそ、あいつ何考えてんだよ」とバックも持たずに駆け出した。

宇賀山は「どうしたんだよ」と通り過ぎる小日向に言うと、「あとは任せた」と言って、もう小日向はどこかへ行ってしまった。

そして隣にいたこころに「ほら、動き出しちゃったみたいだよ?あっちの恋が」と言うと、こころは唇を噛んだのだった。

そして「ウザ山」と吐き捨てた様に言うと、ウザ山は聞こえてなかったらしく、「何?」と言うので、こころは可愛い笑顔で「なんでもないです」と言ったのだった。
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