ツンデレ王子とメンヘラ姫のペット契約

出逢い橋

小日向は地下鉄に乗ろうと改札にスマホをかざすと、残高不足で入ることができなかった。こういう時に限ってと、イラつきながらチャージし、再び改札に入った。

小日向はきっとひなこは最初に会ったところの近くの出逢い橋にいるだろうと思った。

何となくだが、前にひなこがそこについて話していたからそうだろうという確信があった。

地下鉄が目的地に着くと階段を急いで駆け上がり、外に出た。すると雨が降っていた。しかし、幸い会社で宇賀山が「雨だぞ」と折りたたみ傘を貸してくれたので、どうにか助かった。あいつもたまには良いことするじゃんと小日向は思ったのだった。

傘を差しながら、急いで出逢い橋に行くとやはり、そこにはひなこが一人で座っていた。

小日向さんは持っていた傘を床に投げ、「何考えてんだよ」と叫んだ。ひなこはその声に驚き、「え?小日向さん?」ときょとんとしながら言った。

小日向さんはびしょ濡れになりながら「お前はほんとにメンヘラが過ぎんだよ」と言った。そして「俺がどれだけ心配したことか」と続けた。

ひなこは訳が分からないと思ったが、かなり前に書いた小説のことかと合点がいった。しかし、あれを書いてからだいぶ時が経っており、きっと小日向さんは気づいてないだろうと思ってたのだが、今更こんな事態になるとは思ってもみなかった。

ひなこは「大丈夫ですよ?死なないですよ?」「なんなら拓夢くんも生きてますし」とケロっとした顔で言った。

小日向さんはそれを見て呆れたが、さらに走ってきていたので、血が上り、今までの想いが溢れて、

「お前は俺の周りをチョロチョロしてればいいんだよ」

と言った。ひなこは意味が分からず、「え?」と言ったが、小日向さんは続けて、

「俺の隣にいろよ」

と息を切らして言った。ひなこは「え?付き合ってるくれるんですか?」と笑顔で言ったが、小日向さんは「そうじゃない」と言った。

ひなこはえ?と思い、「じゃあ何なんですか?」と言うと、小日向さんは、

「ほら、あれだよ。ペット」
「お前は俺のペットみたいに近くにいればいいんだよ」

と言った。ひなこは、「はぁ?」と言い、「やっぱり死にたくなりました」と言ってみた。すると小日向さんは「二回目は無いからな」と厳しい顔で言った。

そして、びしょ濡れでひなこに近づくと強くひなこを抱きしめた。そして、

「もう俺に手を焼かせるな」

と言ったのだった。ひなこはそれを嬉しく思いながら、「寒いです」と言った。

しかし、小日向さんはしばらくひなこを離してはくれなかったのだった。ひなこはほんと可愛い人だなと思い、ひなこも小日向さんを抱きしめ返した。

すると、さっきまで猛烈に降っていた雨がいつしか止み、空には虹が架かっていた。

しかし、二人はそれにすら気づかないまま、幸せなひとときを過ごしたのだった。
< 70 / 104 >

この作品をシェア

pagetop