ツンデレ王子とメンヘラ姫のペット契約
第14章 Extra Edition

【vol.1 和真と佳音はついに!?2人きりの初デート①】

和真と佳音は、二人で徳島に来ていた。ひなこは、小日向さんと遊ぶからという理由でドタキャンしていた。

和真はひなこのことを諦めてはいなかったが前よりはその気持ちも落ち着いていた。

和真は今日は自分が来る意味ないのではと思ったが、佳音はどうやら凄く楽しみにしていたようなので、仕方なく付いてきた。

二人は徳島阿波おどり空港に着くと、レンタカーを借りた。運転は揉めに揉めた結果、じゃんけんをして和真がすることになった。

和真は隣で「寝ようと思ってたのに」と文句を言っていた。

佳音が助手席に座ると、「いや、お前後ろでいーだろ」と和真は言った。そして「なんかデートみたいで気が散るわ」とさらに言った。

佳音は「紛れもなくデートですよー」と言った。そして、勝手に車のBluetoothに自分の音楽を繋いでさらに怒られていた。

和真は「ふつう運転する人の好きな音楽流すだろ」と言ってたので、佳音は「ほーら、前向いて下さい」と運転している和真のほっぺをぷにっとした。

和真は「うわぁ」と恐ろしい声を上げた。佳音は「ちゃんと運転してください」とサラッと言った。

和真は「よく言うわぁ」と言い、前に向き直った。

佳音はよく和真をおちょくっているが、今日のは今までで一番面白かったなと思った。

佳音にとって和真は良き先輩だった。ひなこと知り合い、その流れで和真と知り合ったが、意外と話すと、ボケとツッコミになり、馬が合うと思っていた。

そして和真もきっと悪いようには思っていないなと思った。というのも絡んでるのは意外に佳音だけでなく、和真からもよく声をかけてくることが多かった。

今まで佳音は青葉先生と付き合ってなかったので、和真のことは何とも思ってなかったが、いざフリーになると、和真の存在を意識するようになっていた。

それのせいか午前中まではふざけ三昧だった佳音も、午後になると変に和真を意識してしまい、時々静かになった。

徳島はどこに行くのも凄く移動時間がかかり、二人で車の中にいることが多かった。

和真は急に佳音が黙るので、「どした?具合悪い?」と度々心配するのだった。佳音は「大丈夫ですよー」といつもの調子で言うが、実際そんな優しいところにときめかなくもなかった。

二人は夕方に鳴門の渦潮のクルーズに向かった。思ったより小さい船で一気に港を離れた。風邪が吹き、一気に船は進む。和真と佳音は「わぁ」と声を上げずにはいられなかった。船のおっちゃんが「良い眺めだろう」と山の端に沈む太陽を指さして言った。確かに辺りはもうすっかりオレンジ色で幻想的な空間になっていた。

佳音は和真の横顔を眺め、意外に綺麗な顔をしているんだなと思った。和真は、佳音の視線に気づき、「なーに見てんだよ」と佳音にデコピンをした。佳音は「痛いじゃないですかー」と言った。

和真はそんな佳音を見て、ふんわり笑った。その笑顔はまるでひなこ先輩のようだったので佳音は二人は一緒にいすぎて似たんだなと思った。

そして佳音は和真にバレないように「和真さん、結構私、和真さんのこと好きですよ」と後ろ姿に呟いた。佳音はなんだかそんなことだけで満たされた気持ちになっていたのだった。

一方、和真は佳音の呟きがたまたま聞こえてしまい、「まじかよ」と赤面していた。今まで一ミリたりとも、そんな雰囲気を出してきたこともないのにと、とても動揺した。

しかし、確かに佳音は可愛くとても面白く、気が合うと思っていたので、改めて考えるとそんなに悪い相手ではない。ただ、この胸の鼓動の正体に和真が気づくのはもう少し先の話だった。

和真は船の後方の手すりに手をかけると、横を向いて佳音に「楽しいな」と言った。

佳音はそれがとても嬉しくて、和真のほっぺを両方からつねった。そして照れ隠しに、「和真さんはそんな台詞吐いたら駄目ですー」と言った。和真は「痛ててて、やめろよ。俺のほっぺがのびちゃうだろ」と返した。今朝は佳音に触られて避けていたが、もう和真はそれを避けず、受け入れていた。

気づいた時には、二人の距離はグンと縮まっていたが、二人はそんなことに気づかず、鳴門海峡大橋の下に着くと、二人で大きな渦潮を楽しむのだった。
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