3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
『条件⑤ お互いを束縛しない 理人SIDE』
 あることをきっかけに、女性のことが苦手になった。祖父母のようになりたいとあれほど結婚に対して夢や憧れを抱いていたというのに、一瞬にして結婚願望さえもなくなってしまった。

 その分仕事に情熱を注ぐようになり、このまま一生独身でもいいと思っていた俺が結婚を決意したのは、祖父の病気が見つかってからだった。

 誰よりも俺の理解者だった祖父が、初めて俺に頼みごとをしたのは〝結婚して幸せになってほしい〟だった。

 余命宣告までされた祖父に対し、正直に結婚するつもりはないなど言えない。かといって祖父の願い通りに結婚などそう簡単にできるものでもない。
 結婚したい相手はいないし、この先も現れる気がしないし、なにより結婚をするつもりはなかった。

 だが、他のでもない祖父の願いを叶えたい気持ちが大きくなり、祖父が亡くなるまでの期間限定の契約結婚をしようと思いついたわけだが……。


 多くのドクターが休憩を取っている時間、俺は医局でひとり手術記録を作成していると、ふと野々花と出会う前の頃を思い出した。

「今思うと、バカげたことを考えたものだ」
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