ステキな攻防戦
離婚してください
9月のよく晴れたこの日は、もうすぐで台風がくるとは思えないくらいだった。

嵐の前の静けさと言ったところだろうか?

詩人みたいなことを気取った自分に対して自嘲気味に笑うと、淹れたばかりのピーチティーを口に含んだ。

桃のいい香りが鼻を抜けた。

「いよいよ、か…」

後2時間ほどで旦那様が日本に帰ってくる。

旦那様と会うのは3年ぶりだ。

新婚生活は愚か、結婚生活も送れていない。

当然だ、彼は私と結婚した次の日に日本を旅立ったのだ。

その後すぐに世界的ウイルスが大流行して日本に帰ることができなかった。

仕事だから仕方がない、世の中が世の中だから仕方がないと言えばそれまでだ。

でも、
「もう1人は嫌だ」

私は深呼吸をすると、昨日の買い物帰りに市役所からもらってきたそれを手に取った。
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