監察医と魔法使い 二つの世界が交わる時

魔法使いとの出会い

蘭は黙り込み、星夜は目を見開き、碧子は戸惑ったような表情を見せる。ゼルダは「えっ……」と声を出し、マルティンは眉間に皺を寄せ、ルカはポカンとしていた。

蘭たちは机の上に置かれた一枚の紙を見ていた。数日前、英介の遺体から発見されたアザの分析結果がようやく届いたのだが、そこに書かれていた文字に全員戸惑ってしまう。

「……原因不明、どのようにできたアザなのかも想像がつかない、ですか……」

探偵の深森圭介（ふかもりけいすけ）が紙を手に取り、そこに書かれた内容を読み上げる。読み上げられた瞬間、ゼルダとルカは力を失ったように机に突っ伏してしまった。

「……ところで、何で圭介がここにいるんだ？」

「そうよ。あんた、もう研修生じゃないじゃない」

マルティンが訊ねると、ゼルダが突っ伏したまま言う。圭介はその光景に少々引きつつ、答える。

「実は、亡くなった英介さんはうちの探偵会社に依頼をしてたんですよ。奥さんが浮気してるんじゃないかってすごい剣幕で……」