エリート外交官は別れを選んだ私を、赤ちゃんごと溺愛で包む
エピローグ


 向日葵の花が並んでいる。
 一体何万輪あるのだろう? 永遠に続く金色の波。その向こうに、小さな白い教会が見えた。
 私の髪にも、小さな向日葵の花。
 着ているのは白いドレス――ウェディングドレスだ。
 そんな服装で、私はシェイクスピアについて話す。戯曲『All's Well That Ends Well』について――。

「色々な批評にあるように、確かに終わり方が中途半端なんです。まるで――どうしたんです?」
「いや」

 嬉しそうに白いタキシード姿の勇梧さんが眉を上げた。

「さすがだな。専攻してるだけある」
「わ、すみません」

 私は慌てて彼を仰ぎ見た。勇梧さんはニコニコとしている。
 私は高卒認定試験を受けたあと、大学の通信コースに入学したのだ。もちろん、文学部英文学科。育児の合間に勉強する日々は、忙しいながらも充実していた。
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