ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
9. 織江side 同居1か月の悶々

ぶかぶかサイズのTシャツに包まれた、華奢なキララ。
その腰を引き寄せる佐々木君。

――まぁそういうことだから。ごめん、もう別れてほしい。

――ごめんね、お姉ちゃんっ! 彰さんを責めないで。全部キララが悪いのっ!

しがみついたキララがこちらへ視線を寄越して薄く笑う。


――ま、たまになら遊んでやるよ。どうせまだ処女なんだろ?

ふざけないで、と叫びかけた口がそのまま石のように固まる。
キララの腰を抱いていたのは、貴志さんだった。

やめて。止めて、2人で何してるの……?
や、いやだ、貴志さん!

――ジムでバッタリ会ってさ。そういうことになっちゃったんだ。悪く思うなよ。

ビー玉みたいに綺麗な双眸が、突き放すように私を見ている。

どうして。
どうして、貴志さんっ!

声が出ない。
どうして、声が……!

2人はピタリと寄り添ったまま、私に背を向ける。

お願い待って、ねぇ貴志さん……っ!!



そこで、目が覚めた。

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