ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
2. 貴志side イケメン副社長の本音


「……高橋」

「はい、ご心配なく。あの場にいた雑誌とテレビ局の各社には、上層部宛てに厳重なクレームを入れておきます」

「そうじゃなくて」

「中条瑠衣の事務所にも同様に抗議しておきます。今回も完全に、相手側のリークが原因でしょうから」

「ッ、ユキ!」

上昇を始めたエレベーターの壁に、オレの尖った声がぶつかった。

「高橋、とお呼びください。副社長」

ユキ(・・)、さっきのあれはなんだ?」


役員フロアへ直通する鏡張りの箱に、2人きり。

それをいいことに嫌がらせのようにプライベートでの呼び名を連呼して詰問すると、操作盤を見ていたすまし顔がようやくこちらを向いた。
「なんのことでしょう?」

「親父との打ち合わせなんて、入ってないだろ」


――副社長、お急ぎになりませんと、社長とのお打合せの時間に遅れてしまいます。

そう促されたから、諦めざるを得なかった。
彼女(・・)に話しかけるのを。


「なにをそんなにイラついてらっしゃるんですか?」

は? イラついてる? オレが?

「確認させていただきますが、先週金曜日の夜に副社長がお楽しみになった彼女は、気づかれていることに気づいていない(・・・・・・・・・・・・・・・・・)んですよね?」

「っ……」

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