離婚前提から 始まる恋

ボランティア活動

勇人が香港へ出張に行って1週間。
日に何度かメールが来たり、今日までに二度ほど電話もかかって来たけれど、普段通りで変わった様子はない。
里佳子さんから何も聞いていないのか、期限付きの結婚生活なら浮気をしてもいいと思っているのか、理由はわからないけれど何の反応もない。
まあ愛し合って結婚したわけでもないから、浮気って言葉自体が当てはまらないのかもしれないけれど、それでも私の気持ちはへこんだまま。
その上お盆の帰省についても、『わかった、都合をつけるよ』と返事が来てしまい、おかげで私はモヤモヤした気持ちでいる。

「花音さん、こんにちは」
「ああ、拓馬君こんにちは」
声をかけてくれたのはボランティア仲間の拓馬君。

私は今日、隣町の児童館へボランティア活動に来た。
仕事が忙しい勇人がいない週末に、私は時間を見つけてボランティア活動に参加している。
とは言っても特別な技術がある訳でもなく、子供たちと遊んだり絵本の読み聞かせをしたり、料理を作ったりの奉仕作業を仲間と一緒にする程度。
もともと実家の母がボランティア活動に熱心で小さいころからよく連れて行かれたから、その影響もあって大学時代からずっと続けている。
< 69 / 233 >

この作品をシェア

pagetop