もっと求めて、欲しがって、お嬢様。
もっと求めて、欲しがって、お嬢様。
「理沙お嬢様っ、そこまでしなくても私は平気です!それよりお風呂のしたく───」
「黙ってなさい…!!」
「ひっ…、すみません…」
なんとか終わった舞踏会。
マンションへ戻ると、すぐにソファーへ怪我人を座らせる。
お嬢様優先、
なんて考えは今日はいらない。
消毒液にガーゼ、包帯、絆創膏、痛み止めの塗り薬、揃うだけ揃った救急箱。
まず何から始めればいいのか戸惑いつつも傷口を確認する。
「……切れてるわ」
「もう血は止まっていますし、傷も浅いですから!その絆創膏くらいで十分です!
そんなことよりお疲れだと思いますのでホットミルクを───」
「いいからじっとしてなさいよ碇…っ!!」
「ひええ…っ、はい…」
どうしようどうしよう。
あんなにもワイングラスが粉々に砕け散ったくらいなんだから痛いに決まってる。
とりあえずは震える手でガーゼに消毒液を湿らせたところで、本当にあっているのか不安になってきた。
咄嗟にスマートフォンを取り出して検索をかけようとする情けないお嬢様を見た碇から、「あっ」と音が出た。