干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

部長 相馬忠文

「おはようございまーす……」


 黒縁メガネの下の眠い目をこすりながら、美琴は自分のデスクに向かう。

 昨日、まさか美琴が命の危機に面していたなんて、誰が想像するだろうか。

 それにしても両腕の疲労感が半端ない。


「おい! 干物……ってオマエ酷い顔してんな。さては二日酔いだろ……」

 部長がため息をつくのが聞こえる。

「あのですね! 部長が死んでも這って来いっつーから、死の淵から這い出てきたんですよ! 朝から部長の相手はしてられないですっ」


 美琴はぷりぷり席につくと、パソコンの電源を入れた。


「なんじゃそりゃ? 打ち合わせ、スケジュールに入れといたからな。ちゃんと見とけよ」

 ぼんやりとした頭に、いつもより優しい部長の声が響いた。
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