干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

友野美琴

 ここは都心から電車で1時間半ほどの山あいの地域。

 登山道への入り口にもあたるこの場所の先に渓谷美を誇る沢がある。


 日帰りで気軽に散策できるスポットとして有名だが、実は別名“滑落(かつらく)スポット”でもあった。

 元々は岩肌が露出した険悪な道だったが、地元の有志で数年がかりで遊歩道を設置したという。

 それでも毎年何人かが、景色に見とれて滑落してしまうのだ。


 ――そういや、いたるところに看板が立ってたような……。


 美琴は遊歩道の鎖に沿うように、点々と設置されていた手作りの看板を思い出す。

 白い板に赤いペンキで書かれた“滑落注意♡”の文字。

 確か乙女チックな丸文字だった……。


「いや、あれ。ギャグにしか見えないでしょ。 『脇見ダメ。絶対!』って歌舞伎の隈取とか描いといてよー……」
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