干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

SNSのひと

「あんた! 大丈夫?!」


 美琴ははっと目を覚まし、がばっと勢いよく身体を起き上がらせた。

 その瞬間、身体中に痛みが走り、慌てて身をかがめる。


「大丈夫かい?」

「えっと……ここは?」


 身体をさすりながら、ぼんやりする頭でぐるりと辺りを見まわした。

 美琴は、六畳くらいの畳の部屋に敷かれた布団の上に、寝かされていたようだ。


 懐かしいにおいのする部屋は、茶色く色あせた押し入れのふすまと、壁際の箪笥(たんす)と、その前に寄せてある丸いちゃぶ台が見える。


「まいどありー。お気をつけて行ってらっしゃい」

「また来るよー」


 小上がりになった畳の部屋の奥からは、ざわざわとした人の話し声が聞こえて来た。

 少し開いた障子の先に見えるのは、たくさんのキーホルダーに積み上げられたお菓子の箱に……。


「ここ! 遊歩道の入り口にあったお土産屋さんだ……」


 美琴はそう言いながら、はっと自分の顔を覗きこむ人の気配に気がついた。
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