干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

見覚えのある風景

「おはようございまーす」

 美琴は、勢いよく副社長室の扉を開ける。

 最初に目に飛び込んできたのは、ソファに座る部長の横顔だった。


「部長?! まーた、そこに座ってんですか?」

「あ? いいだろ? 空いてんだから」

 部長は、カップに入ったコーヒーを飲んでいる。

 ふんわりと心地よい香りが、美琴の鼻をかすめた。


「そろそろ部長のデスクも、こっちに持ってきたらどうですか? ねぇ。そう思わない?」

 美琴は、ちょうど出勤してきた滝山に声をかけた。

「え? で、でも部長ってメンテ部も兼任なんですよね?」

「そうだよ! 俺はめちゃくちゃ忙しいんだよ。それでも今日は、新規事業の記念すべき日だからな。一緒に行ってやるってこと」

 部長は、偉そうにふんぞり返っている。


 美琴はため息をつきつつも、笑いながら引き出しに鞄を入れる。
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