エリートSPと偽装婚約~守って、甘やかして、閉じこめて~

慧side


どうして、キスだけで終われると思ったのだろう。
あまりにも無防備だから、ちょっと男として意識させてやろうとしただけなのに、見事に理性は崩壊していた。

でももう限界だった。
いままで欲しくてたまらないと思っていた。ずっと我慢して、昨夜だってどれほど耐えたと思っているんだ。

「は、あ、んむ……」

「ーーーー詩乃、逃げるな」

反らした顔を振り向かせて、甘い唇を貪った。
恥ずかしそうにはするが、嫌がっていない。
戸惑いながらも背中に回された手に、欲が膨れ上がる。

頬を赤らめて、一生懸命応えようとする彼女はなんて可愛らしいのだろう。
そっと触れただけで吸い付くような滑らかな肌に、夢中になってキスをふらせた。

(堪らないな……)

「詩乃……詩乃」

自分は獣のようだ。
怖がらせたくなどないのに、もっともっとと求めてしまう。

「け、い……さ……」

吐息の合間に名前を呼ばれると、嬉しくて、愛おしくてたまらなくなる。
あっという間に乱れて、ふたりでベッドへと沈む。

(やっと手に入れた)

(ずっと、俺が守るから)


彼女の声が枯れるほど、延々と愛し続けた。
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