ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




私から唇を合わせるたびに言ってくるものだから。

「それ禁止!」なんて、拗ねたふり。



「ごめん、すぐ抱きしめてあげられなくて……本当にごめん」



痛いくらいの気持ちが伝わってきた。

なにを言わせてしまってるんだろう、私は。
こんなに、こんなにも幸せなのに。



「ゆっくりでもいいよ、たとえできなくても…私からすればいいだけだから!」



苦しくならないように包みこんであげれば、気持ちぜんぶで返してくれるから。


下半身だけでなく上半身の動きも固くなって、頑張って動かそうとしているところを見るだけで泣きそうになる。

前よりもさらに細くなって、千隼くんはほとんどを誰かの支えのなかで過ごしていた。



「もう謝るのもダメだよ、…千隼くん」



ずっと、ずっと、ここにいてくれるよね…?

ずっと手を繋いでいてくれるよね…?


気を緩めたら不安になってしまう。

彼の姿を見ていると、とてつもない恐怖を目の前にした気持ちになってしまう。



「りい…、て、」


「手…?」


「…合わせて」



そっと身体を離して、今度はまた手に触れる。

ゆっくり、ひとつひとつ、私の指と絡めるように繋ぎ直して、しっかりと握り直す。



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