ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




さすがは私と違って美容がお得意なお姉ちゃんだ。

すぐに私の部屋のクローゼットを漁って、ため息を吐いて、とうとう部屋を出て行ってしまった。


そしてしばらくすると新しい服を持って戻ってくる。



「あたしの貸すわ。もう見てらんない」


「いいの…!?いつも貸してくれないのに!!ありがと───、え、ちょっ、」



受け取ろうとすれば、ひょいっと上へあげられてしまう。

もう1度手を伸ばすと、また避けられるようにスカッと外されてしまって。


……ねえねえ、貸してくれる気あるの?
このお姉ちゃん。



「あたしがタダで貸してやるとでも思ってるならお門違いよ、李衣」


「……条件は何用でございますか、」



小さいときからこんな感じ。

このお姉ちゃんの嫌なところは、交換条件を差し出してくるところ。



「彼氏の写真、見せて?」


「…やだって言ったら…?」


「その最っ悪な服でデート行って振られて御愁傷様(ごしゅうしょうさま)」


「………」



こんなにも渋ることには理由がある。

昔から、昔からそうだ。

私が好きになったものは必ずお姉ちゃんも好きになる。



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