御曹司の溺愛から逃げられません

ふたたび

一緒に出かけたあの日以来私たちは朝のひとときを過ごす時も今までよりもプライベート感のある会話が増えた。
その時間が楽しみすぎて仕方ない。
基本は食べ物の話だが、最近だと映画の話や旅行の話など多岐にわたるようになった。
他の社員が出社するまでの30分にも満たないくらいの時間だがすごく楽しい。

「柴山、明日はどこに行くんだ?」

あれから3週間。明日は定休日なので私はまた食べ歩きに行くつもり。

「明日はタルトを買いに行く予定なんです。フルーツタルトが美味しいって聞いて。値段はちょっとするけど、その価値があると言われたら食べたくなってしまって」

「タルトか。美味しそうだな。俺も連れて行ってくれないか?」

「え?」

「ダメか? 俺ひとりだと甘いものは入れなくて。ラーメンならひとりでもいいんだが」

確かに男の人ひとりでケーキ屋さんは入りにくいかもしれない。

「私が買ってきましょうか? 持ち帰りにしてお届けしますよ」

「いや、それじゃあ柴山に申し訳ない。よかったら一緒に食べに行こう」

やや強引に話を進められてしまった。
けれど嫌じゃない自分がいる。
私は頷くとデスクに戻って行った。

夜になり、瑛太さんからメッセージが届いた。先日別れ際にIDの交換をしたのでやり取りできるようになったのだ。電話は知っていたが、どうしても敷居が高い。彼に聞かれた時にはドキドキしたが交換したIDのアイコンを見ているだけで幸せな気持ちになった。
そんな彼からのメッセージで明日の待ち合わせを提案された。

【明日はどのあたりに行くのだろうか? 新宿に11時くらいでいいか? この前話していたハンバーグの店で先に昼ごはんを食べないか?】

ハンバーグ!
この前テレビで見た話をしたら凄く興味深そうだったのを思い出した。つなぎを使わない和牛ハンバーグで肉汁がジュワッと出ていて美味しそうだったと話した覚えがある。レポーターが美味しそうに食べているのを見て私もいきたくなったと話したのを覚えていてくれたのだろうか。

【ハンバーグ食べたいです。でも混んでいないでしょうか】

【さっきネットで見たら11時半なら空きがあった。ランチメニューだから柴山がテレビで見たのとは違うかもしれないが行ってみないか?】

グランドメニューではないので違いはあるかもしれないが、それでもあのお店のハンバーグだと思うと無性に食べたくなってしまった。

【行きます! 楽しみです!】

メッセージのやり取りを終えるとベッドに倒れ込んだ。
このやり取りだけで顔が火照ってくるのがわかる。
また瑛太さんと出かけられる、そう思うだけで胸が高鳴り始める。
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