俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
第1章 2人の出会い

みかん畑から

どこまでも続く青い空。
雲ひとつ無い秋晴れに清々しい風が優しく吹く。

緑の木々にオレンジに色づく蜜柑がとても綺麗に輝いている。

私はこの景色がとても好きだ。

私の暮らす田舎はみかん産地で実家は代々続くみかん農家だ。
兄、亮太(リョウタ)は父を手伝いゆくゆくは五代目を継ぐ事になるだろう。

妹、里穂(リホ)は『田舎なんて大嫌い』と、美容師になるべく東京の専門学校へ今年から通っている。

私、間宮果穂は2年前に地元の農業大学を卒業し、実家のお手伝いをしている。

母は私が小さい時に病気で亡くなった。

母譲りの白い肌とくりくりの目、
一度も染めた事の無い黒髪は肩下まで伸びた。歳より下に見られがちですっぴんだったら高校生に間違えられてしまう程だ。

身長は155センチで、妹に背を抜かれた時は悔しくて毎日牛乳を飲んだのに伸びず…

過保護な兄は、小さい方が可愛いと慰めてくれるが、私にとっては1番のコンプレックスだ。

週末には移動式cafeを開き、マルシェやイベントへ出店してみかんのPRをして回るのが、日々の楽しみになっている。

cafeでは実家で採れたみかんやレモンを使ったジャム、フレッシュジュースや地元で採れる果物を使ったパフェ、カップケーキなどを提供している。

インスタを中心に広まって、今ではちょっとした有名店らしい。

でも、私としてはcafeで生計を立てる気はなく、実家で採れたみかんや果物を美味しいと食べてくれるお客様の、直の声を聞きたいと思い始めたに過ぎない。
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