俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する

「あと、5分待って。」
インターフォンで運転手にそう告げると、翔さんは歯を磨きネクタイを締めてスーツを羽織る。
カッコイイっとつい食器を洗う手を止めてぼぉーと見つめてしまう。

あっと思って、
机に並べてあるお財布と鍵とハンカチ、
それにスマホを一色持って手渡して行く。

「ああ、忘れてた。
ここの部屋のカードキー渡しておく。
じゃあ、行ってきます。」
翔さんが皮靴を履いて、鞄を渡すと背を向けて玄関ドアを開ける。

と、突然振り返って不意打ちで唇に軽くキスをされる。

翔さんはいたずらっ子みたいに微笑み、
「じゃあ、本当に行ってきます。」
と、玄関を後にした。

はぁーっと私は、玄関に座り込みしばらく放心状態だった。

いつも翔さんに翻弄されてしまう。
今夜、本当に大丈夫?私……。
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