俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
えっ……?
えっ…翔さん⁉︎

振り返るとそこにスーツ姿の翔さんがいて、
足速に私に近付いてくる。

あれ?
今日はお店に居るのはお昼までだったんじゃ無かったの…?と瞬間思いながらじっと翔さんを見ていた。

「何で、果穂が東京に?……何で着物⁉︎」
翔さんも不思議そうな顔をしてじっとこちらを見つめてくる。

恥ずかしくなって目を逸らすと、パッと手を握られる。

「果穂?」

「えっ…と、凄い偶然でびっくりしちゃって…。
あの、実はサプライズで後で電話して会えたらなって思ってたんですけど……。」

「ちょっと待って、ちゃんと話しがしたい。」
そう言って翔さんは何処かに電話をかける。

すぐに黒塗りの高級車近くに停まって、
翔さんに引っ張られるまま車に乗せられる。

「ごめん、少し話がしたくて咄嗟に車しか思いつかなかった。」

「武井さん、ちょっと席外して欲しい。」
運転手さんに向かってそう言う、彼は正真正銘社長さんなんだ。

「承知しました。」と、運転手さんは頭を下げて外に出て行く。

「あの……翔さん。びっくりさせちゃってすいません。」
なんだか大変な事になったと焦りながら頭を下げる。

「いや、会えて嬉しいんだけど……何で?
着物なんて着て何処へ行く?」
翔さんに真剣な表情で見つめられてちょっと怖気付く。

「えっ…と、実は、うちのみかんが…。」

「みかん⁉︎……。」
怪訝な顔で見てくるので緊張してしまう。

「はい…、うちのみかんが…賞を取って、
文部大臣賞では無かったんですけど、
その次の優秀賞で…で、この後ホテルで授与式があるんです。」
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