冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

一方的な想い――駆side


村瀬を部屋から追い出して、勢いよくソファに座り込む。

(とんでもないことになってしまった)

じんじんと顔が熱い。耳の奥がぼうっとする。
勢いで結婚を迫ったせいで熱が出たのかもしれない。

はち切れそうなほど早く鼓動した心臓に、これ以上はもたないと判断した俺は彼女を部屋から無理やり追い出した。
自分の主張をするだけして、廊下に放るなんて人として最低だと思うが、今日ばかりは許して欲しい。

『駆は村瀬さんのことが好きなのか?』
『何を言っている?』

脳裏に昨朝、コックピットで伊織と交わした会話が蘇り、ついため息を漏らす。
普段は緊張感が薄れる可能性があるため、兄弟とフライトが被るなんて絶対にないのだが、今回はシフトミスで伊織と乗務することになってしまったのだ。
しかも村瀬と三人で一緒になるという珍しすぎるシチュエーションが生まれ、俺の醜態を晒す始末だ。

(せっかくの話せるチャンスを棒に振るなんて、何度学習したら分かるんだ……俺は)

『ホント昔から変わらないね、好き避け。いい大人が、見ていて恥ずかしいよ』
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