国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
後日談①:二人の子
 クリスが加減を知らないからなのか、いつの間にかフローラは六人の子供に恵まれていた。
 一人目は男の子だった。
 二人目も男の子だった。元気ならば男女どちらでもいいとは思いつつも、幸せであれば欲が出てくる。
 三人目は女の子がいいな、と思っていたら三人目も男の子だった。
 四人目はと思っていたが、これまた男の子。
 そして五人目になると、どちらでもいいやと思えてきて、やっぱり男の子。
 六人目もどっちでもいいやと思っていたら、やっと六人目にして女の子が生まれた。
 これに喜んだのはフローラよりもクリスの方かもしれない。
 何しろ五人の息子たちは困ったことにクリスにそっくりなのだから。
 そして、たまにやって来るクリスの父親であるセイジは、孫たちから大人気だった。親バカならぬジジバカを発揮しているからか、クリスが好きだったという甘いお菓子をたくさん携えて遊びに来るのだ。それはもちろんクリスの口に届く前に、全て孫によって消費されてしまう。
「また来たんですか?」
 仕事から戻ってきたクリスは、エントランスでいるはずの無い父親の姿を見つけるとすぐに、その言葉を口にした。
「フローラも一人では大変だろうと思って、な」
 その言葉がどこか言い訳らしく聞こえる。
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