俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜

「うちの会社名pertica cafe ってどう言う意味か知ってる?」
雅也が戸川に問う。

「そのぐらい知ってます。
イタリア語で、止まり木、宿り木の事ですよね。」

「そう、それ。
翔自体がずっと求めていたものだった。
翔って漢字の意味は、鳥が大空を飛び巡るって事。
翔は飛び続けて、疲れた身体を休める場所を、止まり木をずっと探してたんだ。
それが果穂ちゃんって事なんだと思うよ。」

「そんな……事、知りません…。」
戸川は初めて、敗北感を味わった。
私の負けなの…?

私は社長の止まり木にはなれない…。

「気が付いたら早く謝った方がいいよ。
果穂ちゃんに。」

「果穂さん懐深いからねー。
簡単に許しちゃいそうだけど、
その分社長、果穂さんに関しては懐狭いからなぁ。
どうなるかなぁ?」
若干楽しそうに言う新田にイライラ感が募る。

「あんただって!!
さっきから聞いてれば、他人の気持ちにずけずけと土足で入って来て、何様なのよ。

私はね。
社長とは会社の立ち上げ当初から仲良くしてるの、アンタなんかに言われる筋合いないのよ。
社長の事は私が1番よく知ってるのよ!!」
怒りに任せて思いの丈をこれでもかと吐き捨てる。

新田は冷静な顔で戸川を見据える。
「俺はあくまでも、ただの秘書です。
貴方のその本心を知りたかった。
 
言うなれば、社長の密偵ですから俺。
なんなら人事権だってありますよ。
貴方の事リークして、この会社に居られなくする事だって可能なので、悪しからず。」

そう言って、新田は箸を置き副社長に
「ご馳走様でした。」
と、お礼を述べて席を立ち颯爽と去って行く。

「…あの男…私をはめたの?」

「新田はああ見えて、翔のお気に入りの秘書だからね。人を貶める事に長けている。
まぁ、そう言う事だから。

明日、社長室に呼ばれるかもよ。
じゃあ、俺も帰るから、また、明日。」
伝票を持って、副社長も去って行く。

戸川は1人、とんでも無いことを言ってしまったと、青くなって頭を抱えた。
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