離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
契約結婚には妻の自覚が不可欠です
 怒涛の週末が明けた月曜、純玲が出勤すると、職場では既に純玲と肇が別れたことが噂になっていた。

(きっと瑠美ちゃんが言いふらしたんだろうなぁ)

 総務は女性が多いから、そういう類の噂が飛び交うのが非常に早い。
 何となく同僚たちから遠巻きにされてるような気がしていたが、隣の席の女性社員にこっそりと「ねえ、佐久間さんと別れたって本当? 結婚間近だったのよね」と聞かれ、やっぱりと確信した。

 どうやら噂を流したのは瑠美らしい。ちらりと彼女のデスクの方を見ると、目が合う。彼女はふふ、と勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。

(そんな噂を流す暇があったら、仕事をちゃんとすればいいのにな……)

 彼女は外見こそ綺麗にしているが、業務に関しては真面目とは言い難くミスが多いため周囲を困らせていた。
 総務課長が『よくウチに入社できたよな……あぁ、縁故なのか』と呟いていたのを聞いたことがある。

 オノデラ貿易は百田グループの関係会社と取引があるから、コネで入社したのかもしれない。

 苦々しい気持ちにはなるが、純玲側の事情が激変したことで、あいにく瑠美を気にしている場合では無いのが正直なところだ。
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