内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
切れた糸を繋ぎ直して
学生時代に買ったリクルートスーツを着た果歩は、駅を出てとぼとぼと家路を進む。

街路樹の桜はすっかり花を散らして寂しく、どんよりと曇った空は果歩の心を映しているかのようだ。

(今回も駄目そう。再就職の壁は高いな)

今日は土曜で、果歩は双子を近くの保育園の一時保育に預け、書店の就職面接に行ってきた。

いつまでも兄に養ってもらうばかりではいけないと考えて、双子が一歳になったら保育園に入れて働こうと考えているのだ。

子供たちは十一か月になり、先月から三件、書店ばかりを希望して面接を受けたが、二件は不採用の連絡が入り、今日もいい反応ではなかったのできっと無理だろう。

(新卒採用者にあふれている四月だし、時期も悪いのかも。募集自体がすごく少ない。それとネックなのは子持ちなこと。『お子さんが小さいなら大変でしょ。アルバイトにしたら?』と言われてしまった。その方がいいのかな。アルバイトで勤めていつか正社員になれるならいいけど、そういう例はないって言われたし……)

子供たちが成長するにつれ、生活費や学費がどんどん増えるのはわかっている。

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