罰ゲームで私はウソの告白をされるそうです~モブ令嬢なのに初恋をこじらせているヤンデレ王子に溺愛されています~
17 なんの用ですか?
リナリアが一人で庭園噴水前に向かうと、噴水の前で目立つ赤髪の男子生徒が腕を組みながら仁王立ちしていた。サジェスは、リナリアに気がつくなり「遅いぞ」と文句を言う。
「……私になんの用?」
リナリアがサジェスと距離を取り警戒しながら尋ねると、サジェスは黙り込んだ。しばらく待っていたが、何も言わないのでリナリアはため息をついた。
「話がないなら、私、帰るけど?」
「ちょっと待て。話があるから呼んだんだよ!」
いちいち偉そうな物言いにイラッとしていると、サジェスがようやく口を開いた。
「……お前、誰に騙されたんだよ?」
「は?」
「ほら、前に騙されたって、泣いていただろう!?」
(そういえば、シオン殿下に罰ゲームで騙されていると勘違いして泣いているところをサジェスに見られたんだっけ)
リナリアは、すっかり忘れていたが、サジェスは覚えていたようだ。
「誰に騙されたんだ?」
「あれは私の勘違いだったの。騙されていなかったわ」
「はぁ!?」
なぜかキレているサジェスに、リナリアは「話はそれだけ?」と聞いた。
「それだけって……いや、まぁ……」
「じゃあ、帰るわね」
サジェスに背を向けると、後ろから乱暴に右肩をつかまれた。
「いたっ! 何?」
「あ、悪い……って、そんな強くつかんでいないだろう!?」
「サジェス、あんた、男女の力の差がどれほどあると思ってんの!? 妹がいるのにそんなことも分からないの?」
カッと顔を赤くしたサジェスは「お前とケイトを一緒にするな! お前みたいなモブが女扱いしてもらえると思うなよ!」と怒鳴られた。
(どうして、こんな奴に、ここまで言われないといけないの?)
悔しくて腹がたちすぎて涙が滲んだ。それを見たサジェスがギョッとしている。
「あ、その、悪い……言い過ぎた……」
「……いるわ」
リナリアは、涙をこらえながらサジェスの言葉をさえぎった。
「私のこと、ちゃんと女性扱いしてくれる人いるから。その人は、私のことを可愛いって言ってくれるし、いつも丁寧にエスコートしてくれる……」
リナリアの頭の中には、シオンが浮かんでいた。シオンからすれば、女性全員にそうしているのだろうが、優しいシオンは差別せずリナリアもちゃんと女性扱いしてくれている。
「……誰だ、それ」
サジェスに低い声で問い詰められて、リナリアはハッと我に返った。
(シオン殿下のことは、今ここで言うべきじゃないわ)
いくら明日から恋人のふりをすると言っても、自分から言いふらすことではない。
「貴方には関係ない。ケイトに手紙を渡すのはやめて。もう二度と私に関わらないで!」
そう言い捨てるとリナリアは、サジェスに背を向けて全速力で走った。
「ちょっ、待て!」
後ろでサジェスの声が聞こえたが、リナリアは振り返らなかった。なんとかオルウェン伯爵家の馬車までたどり着くと、急いで馬車に乗り込む。
馬車が動き出すと、リナリアは走って乱れた呼吸を整えるために何度か深呼吸をした。
(まったく、なんだったの?)
サジェスの目的は分からなかったが、サジェスが最低な男だと言うことは再確認したので、もう二度とサジェスの呼び出しには応じないと決めた。
(それにしても、サジェスといい、ローレルといい、派手な髪色の男性にまともな人いないんじゃないの?)
リナリアはそう思ったが『あ、シオン殿下はまともだった』とすぐに考えを改めた。大切なのは髪の色ではなく、その人の人間性だ。
サジェスには近づかなければ良いが、問題はローレルだ。シオンの悪評を流すローレルをこのままにはしておけない。それに、ローレルが言っていた『利用され捨てられたオルウェン伯爵家』の意味もまだ調べがついていない。
リナリアは『お父様とお母様なら何か知っているかもしれない』と思ったが、両親は領地で暮らしていて都市用の邸宅にはときどきしか遊びに来ない。
(学園を休んで領地に帰るわけにはいかないし……ああ、そっか手紙!)
リナリアは家に帰ると、急いで両親宛てに手紙を書いた。
「……私になんの用?」
リナリアがサジェスと距離を取り警戒しながら尋ねると、サジェスは黙り込んだ。しばらく待っていたが、何も言わないのでリナリアはため息をついた。
「話がないなら、私、帰るけど?」
「ちょっと待て。話があるから呼んだんだよ!」
いちいち偉そうな物言いにイラッとしていると、サジェスがようやく口を開いた。
「……お前、誰に騙されたんだよ?」
「は?」
「ほら、前に騙されたって、泣いていただろう!?」
(そういえば、シオン殿下に罰ゲームで騙されていると勘違いして泣いているところをサジェスに見られたんだっけ)
リナリアは、すっかり忘れていたが、サジェスは覚えていたようだ。
「誰に騙されたんだ?」
「あれは私の勘違いだったの。騙されていなかったわ」
「はぁ!?」
なぜかキレているサジェスに、リナリアは「話はそれだけ?」と聞いた。
「それだけって……いや、まぁ……」
「じゃあ、帰るわね」
サジェスに背を向けると、後ろから乱暴に右肩をつかまれた。
「いたっ! 何?」
「あ、悪い……って、そんな強くつかんでいないだろう!?」
「サジェス、あんた、男女の力の差がどれほどあると思ってんの!? 妹がいるのにそんなことも分からないの?」
カッと顔を赤くしたサジェスは「お前とケイトを一緒にするな! お前みたいなモブが女扱いしてもらえると思うなよ!」と怒鳴られた。
(どうして、こんな奴に、ここまで言われないといけないの?)
悔しくて腹がたちすぎて涙が滲んだ。それを見たサジェスがギョッとしている。
「あ、その、悪い……言い過ぎた……」
「……いるわ」
リナリアは、涙をこらえながらサジェスの言葉をさえぎった。
「私のこと、ちゃんと女性扱いしてくれる人いるから。その人は、私のことを可愛いって言ってくれるし、いつも丁寧にエスコートしてくれる……」
リナリアの頭の中には、シオンが浮かんでいた。シオンからすれば、女性全員にそうしているのだろうが、優しいシオンは差別せずリナリアもちゃんと女性扱いしてくれている。
「……誰だ、それ」
サジェスに低い声で問い詰められて、リナリアはハッと我に返った。
(シオン殿下のことは、今ここで言うべきじゃないわ)
いくら明日から恋人のふりをすると言っても、自分から言いふらすことではない。
「貴方には関係ない。ケイトに手紙を渡すのはやめて。もう二度と私に関わらないで!」
そう言い捨てるとリナリアは、サジェスに背を向けて全速力で走った。
「ちょっ、待て!」
後ろでサジェスの声が聞こえたが、リナリアは振り返らなかった。なんとかオルウェン伯爵家の馬車までたどり着くと、急いで馬車に乗り込む。
馬車が動き出すと、リナリアは走って乱れた呼吸を整えるために何度か深呼吸をした。
(まったく、なんだったの?)
サジェスの目的は分からなかったが、サジェスが最低な男だと言うことは再確認したので、もう二度とサジェスの呼び出しには応じないと決めた。
(それにしても、サジェスといい、ローレルといい、派手な髪色の男性にまともな人いないんじゃないの?)
リナリアはそう思ったが『あ、シオン殿下はまともだった』とすぐに考えを改めた。大切なのは髪の色ではなく、その人の人間性だ。
サジェスには近づかなければ良いが、問題はローレルだ。シオンの悪評を流すローレルをこのままにはしておけない。それに、ローレルが言っていた『利用され捨てられたオルウェン伯爵家』の意味もまだ調べがついていない。
リナリアは『お父様とお母様なら何か知っているかもしれない』と思ったが、両親は領地で暮らしていて都市用の邸宅にはときどきしか遊びに来ない。
(学園を休んで領地に帰るわけにはいかないし……ああ、そっか手紙!)
リナリアは家に帰ると、急いで両親宛てに手紙を書いた。