罰ゲームで私はウソの告白をされるそうです~モブ令嬢なのに初恋をこじらせているヤンデレ王子に溺愛されています~
41 なんだか納得できません
リナリアはフラフラしながらサロンを後にした。シオンが優しく「馬車の待ち合いまで送るよ」と言ってくれたが丁重にお断りした。
(これ以上シオンと一緒にいたら、私の身が持たないわ)
これまでもシオンの言動にときめき、その色気にクラクラしていたのに、お互いに愛し合っていると分かったとたんにシオンが本気を出してきたように思う。
(まさか、あれで今まで手加減されていたなんて……)
これからのことを考えると、嬉しいと同時にあの強烈な魅力に耐えられるのかと恐ろしくもある。
それに、とても幸せな気持ちのはずなのに、なぜかリナリアの胸は騒めいていた。
(シオンは、今までの悪評を利用して、王室から除名してもらうと言っていたわ。でも、本当にそれでいいの?)
確かに王室から除名されれば、王族ではなくなったシオンは、オルウェン伯爵家の婿養子になれる可能性が高くなる。しかし、シオンの汚名は返上されない。
(そんなの、私は納得できない。何かもっと良い方法はないの?)
サロンの入口では護衛のゼダが待機していた。ゼダは、シオンに頼まれリナリアを馬車の待ち合いまで送ってくれることになっている。
(ゼダ様は、シオンの味方だから、相談に乗ってくれるかも?)
颯爽と歩くゼダの後ろ姿を見ていると、リナリアはふとゼダに言われた言葉を思い出した。
(そう言えば、ゼダ様に『シオンに危ない一面があったらどうしますか?』って聞かれたことがあったわね)
あのときは、ローレルが来たのであやふやになってしまったが、シオンと本当の恋人になった今ならゼダが言いたかったことが分かるような気がする。
(シオンってたぶん、ものすごく一途で少しだけ嫉妬深い面があるんだわ)
子どものころにお茶会で一度だけあったリナリアをずっと思っていてくれたのだ。リナリアにとっては嬉しいことでも、他の人から見ればあきれてしまうことなのかもしれない。
それにリナリアも以前からシオンが時折見せる危ない雰囲気は感じていた。今になって思えば、あれは嫉妬や執着というものだったのかもしれない。
(だからゼダ様は、私のことを心配してくださっていたのね)
リナリアがゼダに声をかけると、ゼダは立ち止まり振り返った。
「シオン殿下のお話ですが、ゼダ様は以前、殿下が私の思っているような方ではなかったらどうしますか、と聞かれましたよね?」
ゼダは顔を強張らせながら「はい」とうなずいた。
「私は、シオン殿下のことは、今でもとてもお優しく美しくて、素敵な方だと思っています。でも、今日、そうではない殿下の一面も知りました」
いつも優雅なシオンの必死な表情や余裕がない態度を、リナリアは今日初めて見た。
「私、思ったんです」
ゴクリとゼダののどがなった。
「そんなシオン殿下も素敵だなって」
リナリアが正直な気持ちを伝えると、ゼダは「良かった……」と小声で呟きながら安堵のため息をついた。
「貴女のおかげでシオン殿下の命が救われました」
「そんな大げさな」
リナリアが驚くと、ゼダは「まだシオン殿下の全てはご存じではないのですね」とどこか遠くを見るような目をした。
「私はどんな殿下でも受け入れられます。これでも子どものころからずっとシオン殿下のファンでしたから。今まで悪いウワサもたくさん聞いてきたけど、それでも好きだったんですよ?」
ゼダは「そうなのですね。そのお言葉を信じたいので信じます」と言いながら、ようやく安心したように口元を緩めた。
(これ以上シオンと一緒にいたら、私の身が持たないわ)
これまでもシオンの言動にときめき、その色気にクラクラしていたのに、お互いに愛し合っていると分かったとたんにシオンが本気を出してきたように思う。
(まさか、あれで今まで手加減されていたなんて……)
これからのことを考えると、嬉しいと同時にあの強烈な魅力に耐えられるのかと恐ろしくもある。
それに、とても幸せな気持ちのはずなのに、なぜかリナリアの胸は騒めいていた。
(シオンは、今までの悪評を利用して、王室から除名してもらうと言っていたわ。でも、本当にそれでいいの?)
確かに王室から除名されれば、王族ではなくなったシオンは、オルウェン伯爵家の婿養子になれる可能性が高くなる。しかし、シオンの汚名は返上されない。
(そんなの、私は納得できない。何かもっと良い方法はないの?)
サロンの入口では護衛のゼダが待機していた。ゼダは、シオンに頼まれリナリアを馬車の待ち合いまで送ってくれることになっている。
(ゼダ様は、シオンの味方だから、相談に乗ってくれるかも?)
颯爽と歩くゼダの後ろ姿を見ていると、リナリアはふとゼダに言われた言葉を思い出した。
(そう言えば、ゼダ様に『シオンに危ない一面があったらどうしますか?』って聞かれたことがあったわね)
あのときは、ローレルが来たのであやふやになってしまったが、シオンと本当の恋人になった今ならゼダが言いたかったことが分かるような気がする。
(シオンってたぶん、ものすごく一途で少しだけ嫉妬深い面があるんだわ)
子どものころにお茶会で一度だけあったリナリアをずっと思っていてくれたのだ。リナリアにとっては嬉しいことでも、他の人から見ればあきれてしまうことなのかもしれない。
それにリナリアも以前からシオンが時折見せる危ない雰囲気は感じていた。今になって思えば、あれは嫉妬や執着というものだったのかもしれない。
(だからゼダ様は、私のことを心配してくださっていたのね)
リナリアがゼダに声をかけると、ゼダは立ち止まり振り返った。
「シオン殿下のお話ですが、ゼダ様は以前、殿下が私の思っているような方ではなかったらどうしますか、と聞かれましたよね?」
ゼダは顔を強張らせながら「はい」とうなずいた。
「私は、シオン殿下のことは、今でもとてもお優しく美しくて、素敵な方だと思っています。でも、今日、そうではない殿下の一面も知りました」
いつも優雅なシオンの必死な表情や余裕がない態度を、リナリアは今日初めて見た。
「私、思ったんです」
ゴクリとゼダののどがなった。
「そんなシオン殿下も素敵だなって」
リナリアが正直な気持ちを伝えると、ゼダは「良かった……」と小声で呟きながら安堵のため息をついた。
「貴女のおかげでシオン殿下の命が救われました」
「そんな大げさな」
リナリアが驚くと、ゼダは「まだシオン殿下の全てはご存じではないのですね」とどこか遠くを見るような目をした。
「私はどんな殿下でも受け入れられます。これでも子どものころからずっとシオン殿下のファンでしたから。今まで悪いウワサもたくさん聞いてきたけど、それでも好きだったんですよ?」
ゼダは「そうなのですね。そのお言葉を信じたいので信じます」と言いながら、ようやく安心したように口元を緩めた。