罰ゲームで私はウソの告白をされるそうです~モブ令嬢なのに初恋をこじらせているヤンデレ王子に溺愛されています~
44 ケイトの話を聞きました
リナリアが「どういうこと?」と尋ねると、ケイトは言いにくそうに少しうつむいた。
「その、シオン殿下とは、サジェスお兄様の件で、いろいろあって……」
(そういえば、私がサジェスに押し倒された件はシオンに任せたんだった)
その件についてシオンに尋ねると、「きちんと対処したよ」としか言わなかったし、サジェスは騎士になるという夢を叶えて転校していったので、任せたことをすっかり忘れてしまっていた。
「もしかして、シオン殿下ともめてしまったの?」
ケイトは慌てて首を振る。
「いいえ、シオン殿下の判断は素晴らしかったわ。私も私の家族も納得しているし、父は『シオン殿下はウワサとはまったく違う優秀なお方だ』って言っていたくらい」
「良かった……」
「でも、サジェスお兄様の件がなくても、それ以前から、ときどき学園内でお見かけするシオン殿下からの圧が……得体の知れない圧がすごくて……。正直、怖かったわ」
「圧!?」
「今思えば、いつもリナリアの側にいる私が、うらやましかったのね。謎が解けたわ」
「そんなことは……あるかも……。シオン殿下は、学園内では入学したときからずっと私のことを見守ってくださっていたらしいから」
リナリアはシオンの危ない一面も知っているので、ケイトの言葉を否定できなかった。ケイトは「ずっと見守っていたって……」と青ざめている。
「リナリア。そ、それって本当に大丈夫なの?」
「え? うん」
「貴女が良いなら良いけど……。困ったことがあったらいつでも相談してね?」
「ありがとう」
ケイトは「サジェスお兄様といい、シオン殿下といい、リナリアに寄ってくる男は、どうしてこうも……」と小声でブツブツ言っている。
「ケイト?」
ケイトは両手を自身の頬に添えながら「でもねぇ」とため息をついた。
「サジェスお兄様やシオン殿下のお気持ちも、少しは分かる気もするの。だって、リナリアって、すごくまっすぐで誰にでも優しいから。闇を抱えている人からすれば、光り輝いて見えるのよね」
「闇を抱えている? サジェスも?」
ケイトは小さくうなずいた。
「サジェスお兄様には、子どものころに守っていただいたわ。確かに優しいお兄様だった。だけど、お兄様は友達をうまく作れない私を見下してもいたわ。私、そういうのは言われなくても分かるのよ。サジェスお兄様は、女性嫌いというより、女性を下に見ていた。それがサジェスお兄様の心の闇。だから、あんなバカなことをして……本当にごめんなさい」
「貴女のせいじゃないわ。それに、サジェスにも謝ってもらったからもういいの。忘れて」
「うん……ありがとう」
ケイトは目尻に滲んだ涙をそっと指でぬぐった。
「シオン殿下なんて、サジェスお兄様よりさらに心の闇が深いわよね。リナリアが眩しくて仕方ないんじゃないかしら?」
「それを言うなら、私から見れば、貴女やシオン殿下のほうが美しくて、よっぽど眩しく見えるわ」
「あのねリナリア、外見だけの話じゃないの。私やシオン殿下は、確かに外見だけしか興味のない人たちからすれば、分かりやすくて好感が持てるかもね。でもね、身の内から滲み出る美しさと言うか……」
ケイトの琥珀色の瞳がリナリアを見つめた。
「貴女はとても綺麗よ。シオン殿下が執着するのも納得だわ」
ケイトの言葉に驚きながらもリナリアは微笑んだ。
「ありがとう」
「信じてくれるの?」
「うん、以前の私だったら、そんな話、絶対に信じられなかったけど、シオン殿下が……シオンが信じさせてくれたの」
フワッとケイトが微笑んだ。
「そうなのね! その話を聞いたら、ますます貴方たちを応援したくなったわ」
「頼りにしてるね」
「その、シオン殿下とは、サジェスお兄様の件で、いろいろあって……」
(そういえば、私がサジェスに押し倒された件はシオンに任せたんだった)
その件についてシオンに尋ねると、「きちんと対処したよ」としか言わなかったし、サジェスは騎士になるという夢を叶えて転校していったので、任せたことをすっかり忘れてしまっていた。
「もしかして、シオン殿下ともめてしまったの?」
ケイトは慌てて首を振る。
「いいえ、シオン殿下の判断は素晴らしかったわ。私も私の家族も納得しているし、父は『シオン殿下はウワサとはまったく違う優秀なお方だ』って言っていたくらい」
「良かった……」
「でも、サジェスお兄様の件がなくても、それ以前から、ときどき学園内でお見かけするシオン殿下からの圧が……得体の知れない圧がすごくて……。正直、怖かったわ」
「圧!?」
「今思えば、いつもリナリアの側にいる私が、うらやましかったのね。謎が解けたわ」
「そんなことは……あるかも……。シオン殿下は、学園内では入学したときからずっと私のことを見守ってくださっていたらしいから」
リナリアはシオンの危ない一面も知っているので、ケイトの言葉を否定できなかった。ケイトは「ずっと見守っていたって……」と青ざめている。
「リナリア。そ、それって本当に大丈夫なの?」
「え? うん」
「貴女が良いなら良いけど……。困ったことがあったらいつでも相談してね?」
「ありがとう」
ケイトは「サジェスお兄様といい、シオン殿下といい、リナリアに寄ってくる男は、どうしてこうも……」と小声でブツブツ言っている。
「ケイト?」
ケイトは両手を自身の頬に添えながら「でもねぇ」とため息をついた。
「サジェスお兄様やシオン殿下のお気持ちも、少しは分かる気もするの。だって、リナリアって、すごくまっすぐで誰にでも優しいから。闇を抱えている人からすれば、光り輝いて見えるのよね」
「闇を抱えている? サジェスも?」
ケイトは小さくうなずいた。
「サジェスお兄様には、子どものころに守っていただいたわ。確かに優しいお兄様だった。だけど、お兄様は友達をうまく作れない私を見下してもいたわ。私、そういうのは言われなくても分かるのよ。サジェスお兄様は、女性嫌いというより、女性を下に見ていた。それがサジェスお兄様の心の闇。だから、あんなバカなことをして……本当にごめんなさい」
「貴女のせいじゃないわ。それに、サジェスにも謝ってもらったからもういいの。忘れて」
「うん……ありがとう」
ケイトは目尻に滲んだ涙をそっと指でぬぐった。
「シオン殿下なんて、サジェスお兄様よりさらに心の闇が深いわよね。リナリアが眩しくて仕方ないんじゃないかしら?」
「それを言うなら、私から見れば、貴女やシオン殿下のほうが美しくて、よっぽど眩しく見えるわ」
「あのねリナリア、外見だけの話じゃないの。私やシオン殿下は、確かに外見だけしか興味のない人たちからすれば、分かりやすくて好感が持てるかもね。でもね、身の内から滲み出る美しさと言うか……」
ケイトの琥珀色の瞳がリナリアを見つめた。
「貴女はとても綺麗よ。シオン殿下が執着するのも納得だわ」
ケイトの言葉に驚きながらもリナリアは微笑んだ。
「ありがとう」
「信じてくれるの?」
「うん、以前の私だったら、そんな話、絶対に信じられなかったけど、シオン殿下が……シオンが信じさせてくれたの」
フワッとケイトが微笑んだ。
「そうなのね! その話を聞いたら、ますます貴方たちを応援したくなったわ」
「頼りにしてるね」