魔法のいらないシンデレラ
第七章 1月2日
年が明けてすぐの1月2日。

朝から瑠璃は、家の和室で姉に髪を結ってもらっていた。

着物に合うように日本髪に結ってもらい、そのあとは母に振り袖を着付けてもらう。

それは毎年、この日の決まりごとだった。

「佐知さんや皆様によろしくお伝えしてね」

そう言って母は、瑠璃におせち料理を詰めた重箱と、手土産のお酒を持たせる。

「では行って参ります」

行ってらっしゃいと家族に見送られ、アプローチをしずしずと歩いて門扉の外に出ると、瑠璃は小さくため息をつく。

時刻はちょうど昼の12時。

毎年1月2日の12時に家を出る。

覚えやすくていいだろ?という和樹のセリフを思い出した。

その時間に和樹が車で迎えに来てくれて、澤山家に新年のご挨拶にうかがうのが恒例だった。

だが、今年は違う。

クリスマス・イブに別れて以来、和樹とは何も連絡を取っていない。

そして瑠璃はそのことを、家族に言えないでいた。

どうやら和樹も同じらしく、佐知から、今年もお待ちしていますという、例年と変わらないメールが届いた。
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