敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
第九章 迫る期日への焦燥と殿下の想い
 婚姻の儀が十日後に迫っていた。俺はこの儀式で必ずエミリアを正妃にすると決めていた。
「何度も言っている。例の噂は悪意を持って広められてしまったもので真実ではない。エミリアは清貧で心根の優しい女性だ」
「私とてエミリア様が『悪女』や『呪われた王女』だなどと真に受けてはおりません。しかし、そのご身分や出自だけでもエミリア様を殿下の正妃とするのに敬遠する十分な理由となるのです」
 朝議の場で俺が既に何度目とも知れぬ台詞を口にすれば、内務大臣のトルドーもまた何度目とも知れぬ答えを返した。
 既に父や保守派の大臣らは再三に渡る説得に折れ、エミリアを正妃とすることを了承していた。これでもろ手を挙げてエミリアを正妃にできると安堵しかけたが、思わぬ人物が反対の声をあげたのだ。
「それでも、俺の正妃はエミリア以外考えられん。なにより彼女には出自など補って余りある素質がある。将来は必ず国民から愛される王妃になる」
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