敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
第十章 精霊神のいとし子の【お願い】がもたらす奇跡
 もぎりの係員にチケットを渡し、半券を受け取ってテントの中に入る。外から見るよりも中はずっと広々として、ステージから階段状に配された客席も適度な空間が取られている。
 開演には少し早かったが、私たちは早々に席に着いた。
「いい席が取れてよかった」
 なんと私たちの席はステージ正面の最前列。ちょうど予約分にキャンセルが出たそうで、たまたまその席を購入できたのだ。
「ほんとですね。まさかこんなに近くから見られるなんて夢みたいです」
 初めてのサーカス、それも特等席からの観覧に私は開演前から大興奮だった。
 演目が記されたパンフレットを握る手に力が篭もる。
「まぁ! 見てください。【本公演初披露・ファイヤーパフォーマンス】とあります!」
 演目リストの最後にひと際目を引くフレーズを見つけ、思わず殿下の袖を引く。
「ほぅ。どんな演技を行うのか見ものだな」
「早く見たいですね!」
「ほら、あんまり身を乗り出すと危ないぞ」
< 159 / 265 >

この作品をシェア

pagetop