敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
第十一章 呪われた王女はガルニア王国の聖女でした
 中央広場を後にして空を見上げると思いの外時間が経っていたようで、太陽がすっかり西に傾いていた。
 ちょうど帰宅時間に重なって人通りが増えた通りを殿下と並んで歩く。
「殿下、寒くありませんか?」
 日中より気温が下がっていたけれど、隣の殿下は行きよりも軽装になっていた。マントを敷き布として提供してくれたからだ。
 シャツ一枚だけの姿は、引き締まった筋肉質な体形がより際立ち、普段よりも男性的な色気を濃く感じた。
「まったく気にならん」
「ならいいのですが」
 ピタリと近い距離に寄り添って歩いていると、時折殿下の腕に私の肩が触れる。全ての感覚がそこに向き、掠めるように触れ合う度、苦しいくらい胸がドキドキした。
「あの、今日はありがとうございました」
「おいおい。俺は礼を言われるようなことはなにもしていないぞ。むしろ、礼を言われる行いをしたのは君だろう?」
 なにもしていないだなんて、それは嘘だ。
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