敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
第二章 押し付けられた不本意な婚姻
 父王と大臣らとの接見を終えて政務室に戻った俺は、ギリリと歯噛みして吐き捨てる。
「俺が不在の間にずいぶんと勝手な真似をしてくれた」
 俺が海を渡った北方大陸にある友好国・バルデン皇国での外交を終えて帰国してみれば、父王と大臣らによって俺の婚姻が勝手に進められていた。しかも花嫁を迎えるための使節団は既に王都を発って、アドランス王国に向かっているという。こんなふざけた話はない。
 憤慨する俺に、乳兄弟で側近のハウイットが同情の滲む目を向ける。
「聞き及んでおります。まさか、よりにもよってアドランス王国の王女をジーク様の側妃に据えようとは。陛下も大臣らもずいぶんと早まった真似をなさいましたね」
 俺と共にバルデン皇国に行っていたハウイットにとっても、この婚姻話はまさに寝耳に水。次代の宰相候補と目されるハウイットも驚きと呆れが隠せないようだった。
< 19 / 265 >

この作品をシェア

pagetop