敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
第十三章 殿下は禍から国を守り最愛の正妃を得る
 エーテル山を目指し、ヒューラに乗って王宮を飛び出した。
 いくらも行かないうちに、異変に気づいた。
 ヘンね、あんまり道が混んでいないわ。……どうしてかしら?
 もともと人通りの少ない裏道を選んだとはいえ、道行く人が明らかに少ないのだ。いや、正確に言えば、私とすれ違って王宮の方向に行こうとする人はいる。しかし、私のようにエーテル山の方向に向かおうとする人がほぼいない。
 ……なんで?
「あんた、どこへ行く気だい!?」
 向かいからやって来た老婆が、馬上の私に向かって声を張り上げた。ちょうど尋ねたいこともあり、いったんヒューラを止めて老婆に答える。
「エーテル山に向かっているのですが……あの、エーテル山の方に行く人がいませんよね。どうしてかご存知ですか?」
「ああ、エーテル山は特に危険だから行くなって言われてんだ」
「え? それは、どこかの機関からのお触れでしょうか?」
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