敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
第四章 輿入れ旅の終わりと鎧騎士との別れ
 俺が使者団に合流して七日目の晩。一行はガルニア王国東部の町で宿を取っていた。
 ──コンコン。
「ジーク様、夕食をお持ちしました」
 ノックの後、ハウイットが夕食がのったトレイを手に部屋に入ってきた。
「あぁ、すまんな」
 脱ぎ去った鎧を片付けていた俺はハウイットを振り返り、短く礼を告げる。
「おや。難しい顔をして、どうしました? もしかしてエミリア姫にしつこくしすぎて嫌がられましたか?」
 合流した当初こそ伝書鷹の件を青くなって謝罪していたハウイットだが、数刻過ぎればすっかり平常運転になり、全身鎧姿で輿入れ行列に現れた俺のことを人目を忍んで笑い転げていた。まったくもって忌々しいから、道中俺の鎧の下の素顔がエミリアにバレぬようせいぜいこき使ってやろうと心に決めた。
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