敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
第七章 王太子殿下と側妃の遠駆デート
 昨日に引き続き、今日も殿下に甲斐甲斐しく世話を焼かれながら朝食を終える。
「ごちそうさまでした」
 ちなみに私の今日の恰好は昨日殿下に言われた通りズボンスタイルの乗馬服。隣の椅子に座る殿下も、幾分ラフな恰好に身を包んでいた。
「よし。では行こうか」
 殿下は席を立つと、当たり前のように私の後ろに回って椅子を引く。私は恐縮しきりで立ち上がる。
 そうして殿下がこれまた当たり前のように私の手を取って歩きだすものだから、さすがに声をあげた。
「あの、ジークフリード殿下。ひとりで歩けますから手を離してください!」
 引き篭もっていた私でも知識として知っている。女性が男性のエスコートで歩くのは、夫婦や婚約者といった親密な関係に限られる。
 人質の側妃である私が人の目が多くある宮中を殿下のエスコートで歩くなどもってのほか。私と殿下の関係について誤解やいらぬ憶測を招く行動は慎むべきだ。
 それなのに殿下は私の訴えを鼻で笑い、離すどころか私の手を握る力を強くする。
「いいや、離さない」
「えっ!?」
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