一夜限りのお相手が溺愛先生へと変貌しました
14.
春から夏にかけて、空と大地が移り変わろうとしているこの季節。
繭と椿はそんな時期に出会い、大きな声では言えないが一夜限りの関係を結び、二度と会ってはならない者同士のはずだった。
しかし自分で決めたそのルールを破ってまで繭を探し続けていた椿と、二度と会う事のない男の子供を身籠ったことにより人生が大きく変化した繭が。
思いもよらぬ場所で運命的な再会を果たしたのは、今はもう遠い昔の話。
あれからあっという間に時は流れ、本日は天候にも恵まれた。
更には、煌びやかなドレスとアクセサリーを纏う美しい女性達にも、普段よりお洒落に着こなすスーツの男性達にも過ごしやすい気温とそよ風。
そんな皆々様が招待されて集まったのは、街中に建てられた一際目立つ大きなチャペル。
西洋のお城のような木材の扉を開いて屋内に入ると、高い天井と均等に設置されたゲスト席、そしてバージンロードという別世界が広がる。
奥へと歩いた先にある祭壇の頭上には、巧妙に作られた様々な色のステンドグラスが自然光により美しく輝き、会場に着席する人々に降り注いでいた。