【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜

最終章 甘い闇

(ハリエットside)



「───ゔあああぁっ！」


二人が去った後イーヴィーの叫び声が響いた。
ドキドキと心臓が音を立てた。生温い風が頬を撫でる。
怒りを爆発的させているイーヴィーは手が擦り切れても地面を叩くのをやめなかった。


「あの女！あの女ッ……！わたくしをこんな目に合わせるなんて許せないわッ！」

「イーヴィー……」

「ハリエットお姉様はどうして平然としていられるの！？あんなのッ、おかしいわ！だって、なにも出来なかったじゃない！！あの子はッ、ゴミだってそう言っていたじゃない！！！」

「……っ」

「お父様だって、どうしてアイツを褒めるの！？なんで！？ッ、なんでよ」

「あの力を見ただろう……？我々には手も足も出ない」

「……っ、でも！こんなこと、ありえないわ」


絞り出すように吐き出される声は冷たい空気に溶けて消えていった。
どうしても納得できないのか、イーヴィーは震えながら手を握り、顔を上げようとはしなかった。
すると父の冷たい声が響く。