断る――――前にもそう言ったはずだ

11.コゼットの打ち明け話

「カステルノー伯爵と会ったそうだな」


 その日の晩、一体何処から聞きつけたのか、エルネストがそう尋ねてきた。
 彼は見るからに不機嫌な様子で、モニカは思わず身構えてしまう。


「……はい。たまたま城内でお会いして、話がしたいと言われたものですから」


 こういう時、下手に隠し立てすると後が怖い。モニカはありのままの出来事を説明する。


「どうして断らなかった? 適当に理由をつけて拒否すれば良かっただろうに」

「けれど、相手はカステルノー伯爵ですし、そういうわけにもまいりませんわ。それに……ほら、伯爵の娘さんはわたくしの侍女ですし、実際に働いている様子をお知りになりたいでしょうから」

「侍女……ああ、そういえばそうだったな」


 エルネストはそう言って、思案顔を浮かべる。


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