断る――――前にもそう言ったはずだ
13.王太子妃の寝室、陰謀
一方その頃、モニカは私室のベッドに一人で横たわっていた。
結婚して三年間、一度も使われたことのないベッドだ。
石鹸の香りしかしないシーツに顔を埋めると、虚しさが一気に込み上げてくる。
(エルネスト様……)
たとえ抱き締めてもらえなくても、彼が隣に眠っているだけで幸せだった。
シーツの冷たさも、ベッドの硬さも、感じることなんて一度もなかった。
たとえ義務感から来る行為だとしても、彼が頬にキスをくれる度に、涙が出そうなほど嬉しかった。
(もう二度と、一緒に眠ることはできないかもしれないけど)
思い出は決してなくならない。
いつか――――遠い未来に『そんな事もあったね』と笑い合える日が来るかも知れない。そうであってほしいと心から願った。
「――――失礼いたします、妃殿下」
「ヴィクトル? 一体、どうしたの?」
ヴィクトルはモニカ付きの護衛騎士の一人だ。今夜はここで休むことを伝え、部屋の外で、相方のポールとともに護衛をしてくれている。
なにか急用でもあるのだろうか?
結婚して三年間、一度も使われたことのないベッドだ。
石鹸の香りしかしないシーツに顔を埋めると、虚しさが一気に込み上げてくる。
(エルネスト様……)
たとえ抱き締めてもらえなくても、彼が隣に眠っているだけで幸せだった。
シーツの冷たさも、ベッドの硬さも、感じることなんて一度もなかった。
たとえ義務感から来る行為だとしても、彼が頬にキスをくれる度に、涙が出そうなほど嬉しかった。
(もう二度と、一緒に眠ることはできないかもしれないけど)
思い出は決してなくならない。
いつか――――遠い未来に『そんな事もあったね』と笑い合える日が来るかも知れない。そうであってほしいと心から願った。
「――――失礼いたします、妃殿下」
「ヴィクトル? 一体、どうしたの?」
ヴィクトルはモニカ付きの護衛騎士の一人だ。今夜はここで休むことを伝え、部屋の外で、相方のポールとともに護衛をしてくれている。
なにか急用でもあるのだろうか?