サキュバスの年の差@純愛物語 イリスとシオン・魔法の恋の行方・シリーズ8

イリスの本当の姿


パチパチと木のはぜる音、
ゆらめく暖炉の火が目に入った。
薄い闇と、ぼうっとしたろうそくの明かり。
まぶたが重く、思うように目が開けられない。

体の節々が痛み、力が入らない。
それでも、
イリスは自分が厚い毛布でくるまれて、誰かに抱かれているのに気が付いた。

「あ・・っ」
自分の上から、低めの声が響いた。

「気が付きましたか?薬湯を飲めますか?」

シオンに抱かれている。
「うん・・」

少し体を起こされて、
温かい陶器のカップが唇につけられた。

コクン
イリスは、トロリとした液体を飲み込んだ。
それは、甘いけれど、苦味も感じる。

強い薬草の臭い。

「すぐに眠くなりますから、
楽になりますよ」

耳元で響くその声は静かで、穏やかだ。

イリスは目を閉じた。
神殿巫女ってなんだっけ・・・
思考の断片がかすめ流れた。
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