セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?

episode①


「今回の企画広報部への募集は中途採用の方のみの募集ということで、我々は即戦力を求めています。坂根さんは弊社企画広報部で何をしようとお考えでしょうか?」
「申し訳ありませんが、ここで具体的にお伝えするつもりはありません。そのままアイデアだけを採用される可能性がありますから」

ああ…落ちたな…

東京に隣接する県の市役所で働いて3年の私、坂根結愛(さかねゆうあ)は希望の企画広報担当になりながらも、その退屈さに飽き飽きして退職し、再就職活動をしている。全然企画なんてことはさせてもらえず、何年も前からの慣習を引き継いだだけの仕事だったから。

「安心安泰な公務員を捨てるのか?」

と親には言われ、今日の面接でも面接官に同じような質問をされた。

「安心安泰より、クリエイティブでエキサイティングな人生を自分で選んで生きていきたいと思います」

あそこまでは可もなく不可もなく面接をこなしていたはずが‘何をしようとお考えでしょうか?’これに失敗したかな…でも、アイデアだけ採用される心配があるよね?私なりに業界分析、企業研究をして今すぐ働けるように準備しているのだ。今回がダメでも次の会社のためにアイデアを持っておきたい。

採用されなければ本末転倒ではあるけれど。
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