セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?
Miyabi Eto

新入社員の採用面接に俺が立ち会うことはないが、中途採用面接には立ち会う。様々な経歴を持ち合わせた者がそれぞれの思いを持って転職するという、純粋な話で終わらないケースもあるからだ。

明朗快活な方が暗い応答をする応募者よりは好感が持てる。だからといって良い人材とは限らないのは当然だが、社会経験のない者なら社風に染まっていく可能性が多いにある。一方で、中途採用面接においては、能力や仕事における方向性といった観点をしっかり見極めなければ、中途採用の目的は達成できない。優秀か否かのみを採用判断の基準とせずに、社風に合う性格または人柄であるか。企業のベクトルに合った考えをしているか。仕事内容に合致するスキルを持っているか…このような点を見極める必要があるのだ。

坂根結愛

彼女は書類選考の段階で前職が公務員であることが、人事で話題になっていた。前例のない応募者だ。

「めちゃくちゃ可愛いんだけど、こんな子、市役所にいるか?」
「どうせ修正してるんじゃないですか?今時の写真なんてそんなものでしょ」

そんな噂が人事で蔓延した頃、彼女の面接に立ち会った。誰が修正って言ってた?写真写りが悪いのか?

Kaiは、その業界のせいか、絶対に誰も言わないけれど裏では‘顔採用’とまことしやかに言われている。問題が起こってはいけないので決して誰も肯定しないが、特に販売スタッフはそう言われても否定できないレベルだ。

この坂根結愛…企画広報でいいのか?全社員の中で断トツに可愛いだろ?
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