「君と一緒!」〜人形の彼と同棲したら〜

君はお留守番

「ねえねえ、連れてってよ〜!」

 朝から元気なイチのおねだり。もちろん私が今日は学校に行くからだ。

「ダメ〜!イチは人形でしょ?人形は学校行かないの!」

「ご主人様はずっとそばにいさせてくれたよ?ずっと一人は嫌だよ〜」

「あなたのご主人様はたぶん、学校なんか行かなかったでしょ!?」

 まるで小さい弟か大事なペットにでも言い聞かせるような自分の説得に、私はまた錯覚を起こした気分。

(イチは、人形なんだよね…?)

 なんとか気を落ち着かせてイチに頼みごと。

「…じゃあ…イチにはお手伝いをお願いします!」

「お手伝い?」

 私はイチに、洗濯物、今晩の料理の野菜切り、掃除などの手伝いをしていてもらうことにした。

「帰ってきたら、そうね…抱きしめて頭をなでてあげるから!しばらくうちにいるなら慣れてもらわないと。…ちなみに私も…」

「ほんと??きっとだよミオ!」

 私にすり寄り寂しそうにするイチを引き剥がし、自分の留守中の注意をイチにありったけ教えてから家を出る。

「あと、そこの棚には触らないで?ほんとに、気をつけていい子でね?」

「いってらっしゃい!頑張るよ〜!!」

 悲しそうに私に手を振るイチ。

(本当にイチは、人形なんだよね??)
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