幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない

「篠原さん、見積り出来た?」
「……はい、あと、十分で出来ます。」
「来客あったし時間取られたね。電話、しばらく取るから集中してくれていいよ。」
「ありがとうございます。」
 にっこり笑い、木下さんを見た。
 こういうところが、気が利くんだよね。
 私を好きと言ってくれる前から、こういう気遣いできるし、他の人にもさりげなくやる。
 だから、直で事務担当だけど、噂にならず今まで来た。
 こんな気遣い出来るし、イケメンだし、好意をもらえて嬉しいのは確か。自分に自信がなかったから、特に。

「木下さん、出来ました。お待たせしてすみませんでした。」
 机でパソコン見つめながら腕組みしてる。
 こちらに目をやり、ニヤっと笑う。
「ありがとう。」
 受け取るとサーッと確認してくれる。
「OK、完璧。」と親指立てる。
「この後は、榊さんへ外出ですよね。」
「そうだな、戻りは少し遅くなるから、帰っててもいいよ。何かあればメッセージ流して。」
「はい、ありがとうございます。」
 パソコンを閉じると、カバンを持ち、近づいてきた。
「……明日、夜食事どう?」
 小声でささやく。明日は金曜日だ。
「……はい。大丈夫です。」
「なら、何食べたいかあとでメッセージ入れて。店は選ぶから。」
「……わかりました。」
 こそこそ話して、じゃあといい、手を振って出て行く。
「……行ってらっしゃい。」
 後ろ姿を見送ると椅子に座った。

< 8 / 36 >

この作品をシェア

pagetop