Triangle Love 7 ~ 揺れる心は夏の蝶 ~

[0]枝葉

教室を後にしたミツバを見送ったモトコは、彼らを待っていた。

連絡は既にしてあるようだ。

モトコは椅子に座ったまま、本を読んでいた。

しばらくすると、2人はやって来た。

『ありがとう。モトコさん。』

『ありがとう!』

ヨウとツクシがお礼を言いながら、空き教室に入ってきた。

モトコは本を閉じ、彼らに向かって言った。

『全然いいよぉ。』

ツクシはモトコの前に置いてあった椅子に座った。

先程までミツバが座っていた場所だ。

ヨウは、教室の端に置き去りにされていた椅子を1つ持ち、ツクシの隣に置いた。

そして、その椅子に座った。

2つの机を中心に、3つの椅子で囲っている状態だ。

ヨウは口を開いた。

『改めて。ありがとう。チケットをミツバに渡してくれて。モトコさんが協力するって言ってくれなかったら…。このままズルズルといっていたと思う。』

ツクシも口を開いた。

『これでミツバちゃんとの関係が進展しそう。ありがとう。』

モトコがミツバにチケットを渡したのは、ヨウとツクシに協力する為だったようだ。

チケットは、ヨウとツクシが用意した物だった。

2人の言葉を受けて、モトコは言った。

『私はねぇ。誰かの恋愛を後押しすることが好きなんだよぉ。だから、全然いいんだよぉ。だけどねぇ…。』

『…。』

『…。』

ヨウとツクシは思わず息を呑んだ。

この2人は少なからず、モトコとも関わりがある。

普段のモトコのキャラクターを、当然知っている。

だからこそ、今のモトコからは怒りに近い感情が少し漏れていることに、彼らは気づいた。

『私はミツバちゃんが大好き。だからね。あんまり…ミツバちゃんを振り回さないで欲しい…。』

『ごめん。』

『ごめんなさい…。』

申し訳なさそうにする2人を見て、モトコは少しだけ安心した。

彼らに対して思う所もあったモトコだが、最後は笑顔で見送ることにした。

『…はやく解決してねぇ。あ、でも、デートは楽しんできてねぇ!』

『分かった。』

『うん。楽しんでくるよ!』

そう言ってヨウとツクシは、教室を後にした。
< 39 / 52 >

この作品をシェア

pagetop