「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~

エルマの兄バルナバ・ボルディーガ

「でも、デボラもお相手がいないわよね?彼女のお相手は、左竜将軍でしょう?たしか、ドラーギ国で戦後の処理をしているってきいた気がするんだけど」
「それがドラーギ国の国都でやりすぎたらしくって、更迭されるみたいなの。その対応にカストだけでなく、陛下も行っているのよ」
「まあ、大変」

 フランコやカストの心労を思いやると、気の毒でならない。

「だから、デボラはパートナーがいるわけ。でっ、どうする?招待を受ける?」

 かんがえてしまう。招待を受けてパーティーに参加したらしたで面倒くさいことになる。だけど、体よく断って参加しなかったら、それはそれで面倒くさいことになる。

 いずれにしても、面倒くさいことになるのは避けられない。

「エルマ、あなたはどうするの?」
「断りたいところだけど、行っても行かなくっても面倒くさいでしょう?それだったら、行って美味しいものを食べた方がいいわよね。それに、パートナーはいないわけじゃないから」

 馬車の窓から見慣れた光景が見える。厩舎が現れた。
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